しるろぐ

いろいろ書きます。

自分を知り他人を知るふりかえり - エモーションツリー

2020年の12月、社内向けに "ふりかえり会" の第一歩 / The first step to retrospective. - Speaker Deck という発表をしました。 ふりかえりの対象を大きく以下の4種類にわけ、この発表では「アプローチの改善」について主に說明しました。

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発表後、人や関係性に対するふりかえりについても聞きたいという声があり「ブログを書きますね」と答えて1年が過ぎていたーー。

お互いを知り合うふりかえり

リモートワークでのチームビルディングは難しい。

同じオフィスで働いていたときは、普段の行動や、会議での表情や振る舞いなどで「この人はこういう人だな」「こういうこだわりがあるんだな」というのがお互いになんとなく分かっていました。 それが、リモートワークになり、お互いの人となりを知る機会が減ってしまったように思います(特にうちのチームはカメラOFF派が多く、顔も見えない)。

そこで、アプローチに関するふりかえりの他に、月イチぐらいでお互いを知り合うワークショップをやろうと考えたのが エモーションツリー です。

エモーションツリー

エモーションツリーは、お互いをより深く知ることを目的に設計したふりかえりワークショップです。

同じ出来事に対しても、人によってその受け取り方や反応は違います。 そうしたリアクションの共通点や違いに目を向け、対話を行うことで、お互いの信念、価値、優先順位、期待などを理解していきます。

コップに水が半分残っているときに「まだ半分ある」と思うか「もう半分しかない」と思うか。 プロジェクトが思い通りに進んでいないときに「楽しい(なにくそ)」と思うか「落ち込んで」しまうのか。

どちらが良い悪いではなく、一緒に働くメンバーが(さらには、まだ知らない自分自身が)何を大事にしているのか、どういうときにどういう思考のクセがでやすいのかを理解し尊重することがこのワークショップの目的です。

グラウンドルール

ふりかえりワークショップを行う上で大事にしたいことです。

  • 相手を否定しない
  • 分かった風で終わらせない
  • 言いにくいことも率直に話す

全体の流れ

ホワイトボードツール等を用いて、おおまかに以下の流れで行います。所要時間は1時間から2時間ぐらいです。

  1. [準備] 自分のカラーを決める
  2. [思い出し] チーム内の大きな出来事を洗い出す
  3. [エピソード出し] その中で発生したエピソードと自分自身の反応をコメントする
  4. [コメント付け] 他の人の出したエピソードへ、自分なりのコメントを付ける
  5. [対話] 各エピソードごとに付けられたコメントを元に共通点や違いを話す
  6. [まとめ] 話して気付いた自分のクセや、よりうまくするための方法を発表する

自分のチームでは mirojamboard を使って以下のようなボードを用意しました。 f:id:ofsilvers:20220218142452p:plain

1. 準備

エモーションツリーでは、誰の発言かが非常に重要です。 誰が出したコメントなのかすぐに見分けがつくように各々の付箋の色を決めます。

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2. 思い出し

ふりかえり対象期間で発生した出来事を洗い出します。 これは、次のエピソード出しのための準備運動のようなもので、粒度は荒いもので大丈夫です。

たとえば、以下のようなものです。

  • 機能をリリースした
  • どこどこと打ち合わせした
  • こういう問い合わせがった
  • 売上がどうだった
  • ほげほげの会議をした

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3. エピソード出し

前のフェーズで出した出来事を元に、より具体的なエピソードと自分のコメントを書きます。

ポイントとしては、「嬉しい」「イライラ」「不安」「悲しい」「ワクワク」など感情が揺れ動いた瞬間のエピソードを出します。 感情が出しにくい場合は、その出来事に対して自分がどういう対応をしたかを書いても良いでしょう。

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4. コメント付け

他の人が書いたエピソードと感情の付箋に対し、自分はこう感じた、自分ならこういう風に考える、といったような付箋を生やしていきます。 付箋の意図が分かりにくければ、質問の付箋を生やしていってもよいです。

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5. 対話

いくつかのエピソードをピックアップし、対話をしていきます。

「なぜそう思ったのか」「他にも似たように感じることはあるか」「異なった意見を聞いてどう思うか」など、相手の価値観や信念に問いかける形で質問を交わしながら、お互いの理解を深めます。 話したことは、どんどん付箋を追加していくと良いでしょう(ツリーと表現している所以です)。

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詳細はふせますが、我々のチームでは、全く逆のコメントを付けた方同士が対話をしていると実は裏では全く同じことを考えていて、しかし過去の経験から違う判断に至ったというのが発覚したり、他にも、落ち込んだときにどう立て直している?とかどういうときに楽しいと思う?など普段の会議だとあまりする機会のない話なども盛り上がりました。

6. まとめ

さいごに参加者それぞれが、対話してみて気付いた自分の価値観や、他人を尊重するために取り組めることなどを学びとして発表します。

実際やってみてどうだったか

チームでトライアル実施をしたところ、「面白かった」「良い取り組みなので継続したい」という声があり、一年弱開催しました。 その後は、ある程度相互理解が進んだこともあってやっていないですが、毎回満足してもらえたと思います。

おわりに

今日は、リモート環境下でのチームビルディングとして設計したエモーションツリーというふりかえりワークショップについて說明しました。

実施しながらどんどん形態を変えていましたが、ある程度形式がまとまったのでもし良ければみなさんのチームでも試してみてください!