しるろぐ

いろいろ書きます。

X回やれば必ず当たると思ってしまう確率の幻想について

昔々あるところに、何度引いても確率が変わらない魔法のガチャガチャがありました。
そのガチャガチャは12星座をモチーフにしたキーホルダーがあたるガチャガチャで、山羊座の太郎君は、どうしても山羊座のキーホルダーが欲しいと思いました。


太郎君は、考えました。
キーホルダーの出る確率がすべて1/12なら、12回引けば山羊座のキーホルダーが手に入るだろう、と。
そこで、太郎君は、300円×12回 = 3600円のお金を用意してガチャガチャに挑みました。


果たして太郎君は望みどおり山羊座のキーホルダーを手に入れられるか

ここで問題です。
12回やれば、山羊座のキーホルダーがあたる、という太郎君の予想は正しいのでしょうか? 普通に考えると、1/2と言ったら2回に1回はあたる、1/3と言ったら3回に1回はあたるような気がします。

でもちょっと考えてみてください。
コインを何度投げても表しかでなかった経験ありませんか?


太郎君が3人いたら1人は山羊座のキーホルダーを手に入れられない

太郎君が1回ガチャガチャを回して、お目当てのものを手に入れる確率は1/12 = 8.33%です。
逆に、1回で手に入らない確率(山羊座以外を手に入れる確率)は11/12 = 91.67%です。

太郎君が2回目"まで"に山羊座を手に入れる確率は、1回目にあてる確率と2回目にあてる確率の和であらわすことができます。これは、式に直すと、次のようになります。

1/12 = 8.33% ... 1回目で手に入れる
(11/12) * (1/12) = 7.64% ... 2回目で手に入れる
8.33 + 7.64 = 15.97% ... 1回目または2回目で手に入れる

いいですね。
この調子で3回、4回と計算していきたいところですが、実はもっと簡単に計算できます。
「2回までに当たる確率」は、全体から「2回やっても当たらない確率」を引いたものと同じなので、

1 - (11/12) * (11/12) = 15.97%

で求めることができます。

したがって、太郎君が山羊座を手に入れる確率は、

1 - (11/12) * (11/12) * (11/12) = 22.97% ... 3回目までに手に入れる
1 - (11/12) * (11/12) * (11/12) * (11/12) = 29.39% ... 4回目までに手に入れる
...
1 - (11/12)^12 = 64.80% ... 12回目までに手に入れる

です。


もし、パラレルワールドが存在して、3つの世界で太郎君がガチャガチャを回していたとしたら、そのうちの1人はかわいそうに山羊座を手に入れられない計算ですね。残念です。


グラフにしてみる

横軸がガチャガチャをする回数、縦軸がその回数までに太郎君が山羊座のキーホルダーを手に入れる確率です。


知り合いに「何回やっても当たらないんだけど!どうなってんの!これ!」と聞かれたので、その回答でした。

一応自分の考えが合ってるかなと思って、「確率 くじ 回やっても当たらない」みたいなキーワードでググったらほとんど同じ内容がTogetterにあって軽く絶望しました。
当選確率1%は100回くじを引けば必ず1度当たるのでないの?という疑問から、コンプガチャの問題点 - Togetter
当選確率1%のくじは100回引いて1回も当たらない確率が36.6%と計算できるようになるまで - Togetter